病院とともに成長してきた14年とこれからの自分

interview04_01葛西昌医会病院 勤務

大塚正美さん

今回は江戸川区葛西にある「葛西昌医会病院」で、医事課の課長を務められている大塚さんに、お仕事を始めるきっかけや、現在のお仕事内容についてお話を伺いました。

医療事務を目指したきっかけ

三澤:本日はお忙しい中、ありがとうございます。
じつは大塚さんとは2、3年前に一度お会いしたことがあったのですが、こうしてちゃんとお話を伺う機会がほとんどなかったので、今日は楽しみにしていたんです。
大塚さんの略歴を改めて拝見すると、現在36歳でいらっしゃって、医療事務歴が17年。学校を卒業されてから、ずっとこの業界で続けられてきたのですか?

大塚:いいえ。高校を卒業してから、一般企業に就職して事務の仕事をしていました。

三澤:一般の企業でOLをされていたんですか。

大塚:といっても、その会社には数カ月ほどしかいませんでした。じつは就職する前から「この仕事でいいのかな?」「ずっと続けられるかな?」と、迷いや不安を抱えながら就職したので、ほどなくして退職してしまったんです。

三澤:それですぐ、医療事務に転職を?

大塚:いえ、仕事を辞めてからアルバイトをしたのですが、その時期に母親が病院にかかることになって、付き添いで行った病院の受付の方の対応がとても親切で安心させられたんです。
それで、医療事務に興味がわき、そのことが目指すきっかけになりました。

現在のお仕事を見つけたきっかけ

三澤:OLをお辞めになって、どんな経緯でこちらの病院にいらしたのですか?

大塚:最初はアルバイトをしながら、地元の「医療事務センター」に1年間通って勉強しました。
卒業してからクリニックで3年働き、それから派遣会社に登録して配属されたのがこの病院だったんです。
派遣でこの病院に勤め始めて2年後ぐらいに、所属していた派遣会社がこの病院から退くことになってしまって。その時にタイミングよく正職員にならないかってお話をいただいたんです。

三澤:この病院なら安心して働けると納得したうえで正職員になれたのは良かったですね。

大塚:ええ。前の仕事のように迷いもなく、毎日楽しみながら働けています。それで、気がついたらもう14年も経っていたって感じです。

三澤:じゃあもう大ベテランですね。この病院の成長とともに、一緒になって歩んできたわけですから。

大塚:そうですね(笑)。

仕事の内容について

三澤:大塚さんは現在、医事課で課長を務められているそうですが、仕事の内容を教えていただけますか。

大塚:今はスタッフ管理が主な業務です。医療事務で15名、メディカルクラークに7名、医療連携室に6名いますので、各チームの管理をしています。

三澤:20名以上のスタッフとなると大所帯だと思いますが、スタッフをマネジメントするうえで心がけていることもあるんですか?

大塚:医事課には入院と外来の受付、メディカルクラーク、医療連携室などいろいろな部門があるので、目が行き届かないところがたくさんあるんです。
だからこそ、それぞれの部門ごとのリーダーと密に話し合い、連携を取るように心がけていますね。

三澤:それぞれの現場に足を運び、コミュニケーションを取ることはやはり大切ですか?

大塚:そうですね。なるべく各部門に顔を出すようにしています。他の部門と連携を取ることも多いので。

三澤:大塚さんは36歳とまだお若いですけど、行なっている業務は病院の柱としてしっかり機能されている感じですよね。

大塚:コミュニケーションを取ったり、人から引き出したりすることは得意な方だと思うので、業務の中で自分の長所を出せているのが、今のポジションなのかなって思います。

interview04_02各部門に積極的に出向き現場を把握することを心がけている。

他の医療者と働くこと

三澤:他部門のお話しが出ましたけれど、病院は医師や看護師、管理栄養士や薬剤師など、いろんな医療者の方が集まっている場所ですが、大変なことも多いですか?

大塚:大変ということはありませんが、相手の立場に立って物事を発言したり、相手の反応を見ながら話を進めたりすることは心がけています。
医療事務って調整役になることが多いので、相手を気遣ったコミュニケーションが大切だと思うんです。

三澤:確かに、病院内のコーディーネーターであり、橋渡し役ですもんね。
患者さんと医療者との橋渡し役、それに職種の違うスタッフ間の橋渡し役でもあって、その時々に応じて相手の立場に立ち、先んじて対応しなければならないし。

大塚:たとえば患者さんから話を聞いて、そのまま先生(医師)に伝えても上手くいかなかったりするんです。それを上手に変換することも大切というか。

三澤:そういう意味では、女性って男性よりもコミュニケーションが得意だったりするし、とても遣り甲斐のある仕事ですよね。

大塚:そうですね。遣り甲斐はかなりあると思います。医療事務の仕事はレセプトや会計だけじゃなくて、年々幅が広がっていて、広い視野が必要になることも多いんです。
だから、仕事をいろいろな視点で楽しめるようになると、医療事務は長く働ける職場だと思うんです。
本当にいろいろな事が起こるので、あっという間に14年経ってしまった感覚で。だから、今でも新人の頃のような新鮮さを感じながら働いています。

三澤:そういう新鮮さって、一般企業の事務だとなかなか得難いものですよね。この仕事ならではというか。

大塚:そうですね。病院の業務ならではかもしれませんね。

interview04_03病院内の連携の重要性を話しながら看護部長と談笑する大塚さん。

今の職場に勤務してよかったこと

三澤:14年間の中で、本当にいろいろな経験をされたと思うのですが、特に印象に残っている出来事ってあるんですか?

大塚:じつは、この病院に来て3年目ぐらいの頃、私が入院の係(病棟クラーク)だった時の患者さんが、今でも外来で来た時に声をかけてくれるんです。
その患者さんは私のことを覚えてくれていて、「あの時はありがとう」ってお礼を言ってもらえたことは、嬉しくてとても印象に残っています。

三澤:患者さんからすると、大塚さんがこの病院のオンリーワンになっているんですよね。
だからこそ、10年以上経っても患者さんの中で記憶として鮮明に残っていて。

大塚:患者さんも顔を知っているスタッフがいると安心するみたいですね。私の顔を見て表情が和らいでくれると、やっぱり働いていてよかったって思います。

医療事務に向いている人

三澤:大塚さんは管理職としていろいろなスタッフを見てきたと思いますが、ご自身の経験もあわせて、どんな人が医療事務に向いていると思いますか?

大塚:病院はいろいろな職種があって、有資格者が集まる職場なので、橋渡し役という意味でコミュニケーション能力が一番必要になると思うんです。
ですから、相手がどういう方であれコミュニケーションが取れる人は強いですね。

三澤:臨機応変な対応ができなければいけないですから、そこで力を発揮するのは最終的にコミュニケーション能力が高い人になると。

大塚:そうですね。現場で6カ月も働けば、資格を持っている人と持っていない人の差はほとんどわからないですから。

三澤:人の間を取ってつなぐ仕事という意味では、医療事務もコミュニケーション力が不可欠な仕事なんですよね。

interview04_04コミュニケーションとチームワークが、病院内の流れを円滑にする。

医療事務を目指す方へ

三澤:それでは最後に、これから医療事務を目指す方へ、大塚さんからメッセージをいただけたらと思います。

大塚:医療事務の仕事は、レセプトや会計だけでなく、活躍の場が年々幅広くなっているので、事務ということにとどまらず、広い視野を持っていろいろな方向に目を向けてもらいたいと思っています。
まずは基本の医療事務の仕事を知って、それからメディカルクラークや、医療連携室など、事務作業にとどまらず広い場所で活躍してもらいたいです。

三澤:病院の中でのポジションも重要になってきているってことを、もっと多くの人に知ってもらいたいですよね。
医師事務作業補助者の資格ができて、医師側に近い仕事も出来るようになりましたし、医療連携室というところでいえば、他院とのパイプ役という営業的な役割も持つようになった。
そうやって、医療事務の仕事の幅や、果たす役割が広がることで、「縁の下の力持ち」というイメージも払拭されますからね。

大塚:そうですね。医療事務にはいろいろな業務があるっていうことを、ちゃんと知ってもらえたら良いなっていつも思っているんです。
この仕事は続けていれば必ず良いことがあるということは、私が自信を持ってお伝えできるので、自分を通してこの仕事の遣り甲斐や楽しさを知ってもらえたら嬉しいです。

三澤:医療事務って、一般的な職種よりも仕事とライフイベントの両立がしやすいと思うんです。
自己実現をして、人生をもっと素敵にする可能性があるお仕事ですけど、それはやはり大塚さんのような経験者を通して気づかれる方が多いですから、今回うかがったお話はとても良いアドバイスになると思います。

大塚:じつは私、この夏に出産を控えているんです。だから、まずは自分自身がライフイベントと仕事の両立ができるってことを示したいなって思っているんです。

三澤:それはおめでとうございます。
課長の大塚さんが、そういうことを率先して示してくれると、他のスタッフにもよい見本になりますよね。
今日は本当に貴重な話を聞かせて下さってありがとうございました。次にお会いする時は、元気なお子さんの顔が見られるのを楽しみにしていますね。

◆「葛西昌医会病院」勤務:大塚正美さん
profile36歳・女性
勤務形態:正社員
医療事務歴:17年
取得資格:医療事務資格ほか
資格取得方法:通学

勤務先:医療法人社団昌医会 葛西昌医会病院
東京都江戸川区東葛西6-30-3
03-5696-1611(代表)
http://www.shoikai.com

お仕事内容:医療事務(マネジメント業務)
勤務時間:週5日、8:30~17:30
職歴:一般事務

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