東京警察病院 勤務
須田孝之さん
今回は、中野区の「東京警察病院」に勤務され、病院のお仕事としてはまだ少ない『広報』として活躍されている須田孝之さんに、『広報』のお仕事内容や病院内での役割についてお話しを伺いました。
病院の『広報』というお仕事
三澤:須田さんは東京警察病院に正職員でお勤めになられ、経営企画課で事務をされていると伺ったのですが、”経営企画課”では具体的にどんなお仕事をされてらっしゃるのですか?
須田:主な業務は、広報誌の作成やホームページの管理、病院の年報や統計資料などの作成です。
また、「警察病院」ということもあり、警視庁が発行している「自警」という広報誌の担当ページを企画編集しています。
三澤:お話を聞くと病院の情報を発信する役割だと感じたのですが、病院の広報と一般企業の広報との違いというのはありますか?
須田:一番の違いは、医療に関する情報を発信するので、わかりやすい表現で伝える必要があるということだと思います。
専門知識がない方に、どうすればわかりやすく伝えられるかという点は、この仕事の難しさでもあり面白さを感じられる部分でもあります。
三澤:伝えることの難しさというのはもちろんあると思いますが、その分だけ思いが伝わった時の達成感や遣り甲斐も大きそうですね。
須田:そうですね。ただ、「広報」という仕事は、顔の見えない相手に伝える仕事なので、相手に伝わっているかどうか、実感できる機会は意外と少ないんです。
もちろん、アンケートを見たり窓口のスタッフから報告されたり、ご意見を貰えることもありますが基本的に生の反応を見る機会がなくて。
だからというわけではありませんですが、広報誌でもお知らせしている「区民健康講座」は参加者の反応を直に見ることができるので、やっていて楽しいですね。
三澤:どんな講座なのですか?
須田:毎月1回開催している「区民健康講座」は、地域のみなさんが関心を持ってもらえる、医療の身近な話題をテーマにした講座なんです。オフィスや大学の多い飯田橋から住宅地の中野区に移転したこともあって、地域のみなさんと病院との交流の場を作りたくて始めた講座なんです。
三澤:最近は、そういう講座を開いている病院が増えていますよね。
須田:そうですね、私も他の病院がどんな講座をしているのか参考にさせて貰っています。
病院ごとにそれぞれ違うカラーがあると思うので、うちの講座では地域の方が気軽に来院できる、そんなきっかけになる講座にしたいと思っています。
精神保健福祉士資格
三澤:須田さんは、一般事務をされていた前職から病院に転職されて、ソーシャルワーカーの資格を取られたそうですね。まったく違う職種から医療業界への転職をしたのは、どんなきっかけがあったのですか?
須田:前職は一般企業の事務で、人事の仕事を担当していました。その職場でたまたま障害者雇用に携わる機会があり、それが転職のきっかけになりました。
その時にソーシャルワーカーという仕事を初めて知り、自分もやってみたいという思いが強くなって、精神保健福祉士の資格を取得したんです。
三澤:はじめからこの業界を目指して入職される方も多い一方で、一般企業で社会人をされてから医療事務に転職される方も多くいらっしゃいます。
でも須田さんの場合、ソーシャルワーカーのお仕事に興味を持たれ、精神保健福祉士の資格を取得してというのは珍しいですね。
須田:私が資格を取ろうと思った時は、ちょうど心療内科に注目が集まり始めていたこともあって、困っている人の手伝いをするだけじゃなく、より精神領域のサポートをする精神保健福祉士に興味を持ったんです。
三澤:資格はどうやって取得されたんですか?
須田:東京福祉専門学校の夜間講座に1年間通って取りました。
学校の課題でボランティア経験をする機会があり、病院で働いている友人にボランティアできないかと相談したのですが、その友人の勤務先がたまたまこの病院だったんです。それが縁で、ここで働くことが出来たんです。
広報として今後やりたいこと
三澤:須田さんは、広報として病院の情報を発信する役割を担っていると思いますが、今後やっていきたいことや目標などを教えていただけませんか。
須田:広報誌を作っていて思うのは、医療に関する情報を皆さんにもっと分かりやすく伝えることができるんじゃないかということなんです。だから、誌面に使う表や図版などが自分で作れるような、そういうスキルを身につけたいというのが目標です。
三澤:文字がびっしり書いてある物より、イラストや図解が使ってあって、見た目でわかりやすい物だと関心も持ちやすいですからね。とても専門的な内容ですから、視覚で伝えるということも大切なんですよね。
須田:どんなに良い情報を載せていても、手に取って読んでもらえなければ伝わらないですからね。
三澤:これからの医療は、「地域医療」や「予防医療」が必要になり、患者さんの「病気」を診るのではなく、患者さんの「生活」を丸ごと診ていく時代になると思うんです。
病気を未然に防ぐためには、予防に必要な情報を知っていなければいけませんから、その意味でも須田さんのお仕事である「広報」はとても重要な役割になっていくと思います。
須田:そう言ってもらえるように、もっともっと良い広報誌を作らなければいけませんね。診察の待ち時間に読むだけじゃなくて、自宅に持ち帰って何度も読んでもらえるような物を作れるように頑張ります。
三澤:とても素晴らしい目標をお伺いしたところで、最後に医療事務を目指す方へのメッセージをお願いしたいのですが。
須田:病院の仕事というと、医師や看護師が注目されやすい業界ですが、やはり事務職は不可欠な存在なんです。
医師や看護師が良い診療を提供できるのも、事務職のスタッフがその場所を支えているわけですから。やはり病院にとってなくてはならない存在なのだと思います。
三澤:私も本当にその通りだと思いました。ドクターやナースが活躍できるかどうかは、事務職の基盤がしっかりしているかどうかですからね。いろんな職種の方がいて、それぞれに重要な役割がある中で、総合的に病院を支えているのは事務スタッフといって良いと思うんです。
須田さん、本日はお忙しい中、お話を聞かせてくださいまして本当にありがとうございました。
インタビューを終えて
いつお会いしても温和で礼儀正しい須田さんは、「病院の広報」というお仕事の魅力や難しさを、とても紳士にそして穏やかに伝えてくださいました。
病院のロビーで広報誌を手に微笑む須田さんを見ていると、やさしい雰囲気の中にある真摯な想いを感じることができた気がします。
◆「東京警察病院」勤務:須田孝之さん
39歳・男性
勤務形態:正社員
取得資格:精神保健福祉士
資格取得方法:通学
勤務先:東京警察病院
東京都中野区中野4-22-1
03-5343-5611(代表)
お仕事内容:経営企画課
勤務時間:週5日、8:15~17:30
職歴:一般事務
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